以前、状況が無限にループする夢についての記事を書きました。
月日は過ぎ、これまでに多くの方に読んで頂きました。中には共感を得たといった感想を目にすることもあります。似たような体験をした人は私以外にもいらっしゃるのですね。
あれから夢がループする理由についてずっと答えを探していました。読了本の中に興味深い内容が記載されていましたので、紹介します。
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目次
夢はループするもの
1990年代、シカゴのロザリンド・カートライト(Rosalind Cartwright) という研究者が実験。 60人の健常者と70人のうつ病者に対し「断続的に目を覚まさせ、夢の内容を記録させる」ことを実施。
その結果によってわかったことは以下
何か悩みを抱えているとき、通常の人は、最初の「レム睡眠」で最もネガティヴな夢を見ます。(中略)
ところが、二回、三回とその夢は繰り返され、回を追うごとにだんだんとポジティブになっていきます。 (中略)
つまり脳は、海馬の奥にあるデータをひっかき回し、「いまのあなたの問題を解決してくれそうな情報」を探していくのです。(中略)
こうして、夢を繰り返したあとに、本人は気分よく目を覚まします。
夢のことなんて忘れていますが、なんとなく今の問題を乗り越えられそうな気になっている……。
引用:『願いがかなう口ぐせ睡眠』/ 佐藤 富雄/ グラフ社
なんと興味深い。 この記述によると、夢が ”たまたま” ループしたのではなく、日常的に夢はループしており、それを”たまたま” 認識したということになります。
夢がループすることで、ネガティブをポジティブに換えていくというのは驚きです。素晴らしい機能です。これは睡眠時間を削るべきではない理由の一つに違いありません。
また、「夢」とは、眠っている間の脳の活動が意識に残ったことを指します。ということは上述の働きとして、記憶に残ることが重要ではないということです。つまり、夢をよく見る私も、「夢は久しく見ていない」と言っていたあの人も、レム睡眠中の夢の働きとしては同等なのかもしれません。
そしてうつ病者の場合は、不眠症状だけでなくレム睡眠の時間も減ってしまうため、このポジティブに換える能力が十分に働かないようなのです。
夢から何かが生まれる
睡眠や夢が与える効果は文明を発展させてきました。
- ミシンの発明
- アインシュタイン、光の速度の説明
- 小説『フランケンシュタイン』の執筆 など
医学、物理学。発明品や文学、音楽に至るまでに、夢の中からヒントを得て生み出したとされているものが、記録に残っているだけでいくつもあります。
参照: *1
上述の書籍いわく、レム睡眠の最中には、記憶の整理もしているといわれています。 脳は経験により得た、関連がありそうな情報や、DNAに刻まれた知恵を整理しています。問題解決に睡眠が有効であるのは、眠る前よりも記憶の整理、統合が出来ているからとあります。
もちろん眠っている間の脳の活動には、まだまだ未解明のことが多くあります。(中略)
しかし多くの事例や、多くの実験が、「眠っている間に脳は更新される」という事実を証明しているのも確かなことなのです。
引用:『願いがかなう口ぐせ睡眠』
生活をしていると、いろんな問題が身の周りに起きるものです。すぐに対処できればいいのですが、ときには解決法が見つからないこともあります。
そんなときには人は夢の中で、脳内にある情報のストックを引き出して、それを参考にしながら複雑にからまった問題を整理したり、対処法を探っているのではないでしょうか。
引用:『楽しい睡眠』/松田 英子/ ジャイブ
まとめ
これらのことからレム睡眠の効果は
- 何度も同じ夢を見ることで、何度も同じ状況を繰り返し、ネガティブな認識を修正していく
- 記憶や情報をかき集め、整理、統合することで問題解決へと導く。
少なくとも上記のことは言えるのでしょう。
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おわりに
辛いこと、悲しいことのように負の感情が支配しているとき、眠ることで救われているのは体感としてありました。しかしそれと、無限ループする夢と関連があったとは思いもよりませんでした。
ブログを書いていると、出来上がったものに対して必ず不安を覚えます。誤字脱字はもとより、文章の構成が不自然ではないか、わかりづらいところはないか。見直すべきことを挙げればキリがありません。
一旦睡眠を摂った後にもう一度文章を読み返すと、数十分前では思いつかなかったアイディアや修正を加えることがあります。これも睡眠を摂ることで頭の中が整理されているおかげなのですね。
過眠ゆえ、時々睡眠が憎らしく感じる私ですが、睡眠がもたらす恩恵を得られているのも事実だとよく理解しました。これまで以上に今後の睡眠との向き合い方を考えさせられます。
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何かしらの疾患、体調不良は「痛い、辛い、苦しい」などいずれかもしくは複数の症状があって「眠り」という休息を求めるかと思います。
— りつ@ナルコレプシー (@rit_narcolepsy) 2015年12月4日
過眠症は「眠り」いうものが症状で「眠り」に苦しんで、「眠り」で休息をしています。それが他の疾患と比べて異質で理解されずらい理由の一つなのでしょう。