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世界で日本人が一番多い過眠症、ナルコレプシーに関係あること、ないこと。

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自覚していない睡眠不足と、必要睡眠時間について

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神は現世におけるいろいろな心配事のつぐないとして、われわれに希望と睡眠とを与え給うた。

ヴォルテール(Voltaire)/フランスの小説家・劇作家・思想家 /1694~1778

 

 

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目次

 


はじめに

興味深い記事を見つけたので紹介します。 睡眠について。私がどうしても気にならずにはいられないことです。

「睡眠不足」を自覚していない人でも、睡眠不足に陥っている可能性があるという研究結果。

 

プレスリリース詳細 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

 ※以下、引用同リンク

 

■本成果のポイント

  1. 健康成人の必要睡眠時間を精密に測定した結果、平均約1時間の自覚していない睡眠不足(潜在的睡眠不足)が存在することが明らかになりました。
  2. 潜在的睡眠不足の解消により、眠気のみならず、糖代謝、細胞代謝、ストレス応答などに関わる内分泌機能の改善が認められました。
  3. 潜在的睡眠不足は自覚していないがゆえに長期間にわたり持続する危険性があり、中長期的な健康リスクに留意する必要があると考えられます。

 

 


内容(一部抜粋)

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実験内容と結果

(平均年齢23.4歳)成人男子15名に9日間実施

実験室内で9日間、1日12時間 就床しゅうしょう*1してもらった。 開始当初は日頃の睡眠不足の反動で長時間眠り、日ごとに睡眠時間が減少していくだろう。そして最も減少し、安定した時間を個人の必要睡眠時間とみなした

 

 

健康な23歳の睡眠時間は、平均7時間18分

 

・初日の睡眠時間は10時間以上に達した。

実験前に蓄積した疲れを回復するため、普段よりも睡眠時間が伸びたものと考えられる。しかし被験者たちは普段の生活で睡眠不足を全く自覚していなかった

 

 

・9日間かけて算出された必要睡眠時間

もっとも短い人:7時間17分

もっとも長い人:9時間15分

平均:8時間25分

 

被験者の自宅での習慣的睡眠時間は平均7時間22分

実験で明らかになった「必要睡眠時間」とは、およそ1時間のずれがある

 

 

眠気をバロメーターにして睡眠不足の有無を判断しがちだが、自覚症状のない睡眠不足でも心身に負担を生じさせている危険性がある。

 

 

 習慣的睡眠時間から試算された1日当たり1時間の睡眠不足は被験者の心身機能に負担となっている臨床上問題のある睡眠不足でありながら、眠気などの症状に乏しいため本人は睡眠不足の存在を自覚できない潜在的睡眠不足(potential sleep debt)と命名しました。今回参加した被験者15名中実に13名、すなわち大部分の被験者が潜在的睡眠不足に陥っていました。
 
参加した被験者のうち、15名中、13名が自覚なしの睡眠不足だった…!
 
 

算出された必要睡眠時間には個人差がみられ、(中略)習慣的睡眠時間からシンプルに潜在的睡眠不足度を推定することはできません。しかし本研究の結果、「休日の寝だめ」の長さが潜在的睡眠不足度を推測する一つの目安になることが分かりました。

 

 

:潜在的睡眠不足の他、必要睡眠時間に個人差があるというのが、明確に出ている研究結果ですね。一般的に言われている「1日8時間眠りなさい」では、多い人もいれば、足りない人もいる。前から知識としてはありましたが、データとして示されるとより納得させられます。やはり皆が「同じ」という訳にはいかないのですね。日本は個人の多様性はもとより、睡眠の多様性も認めてくれる社会になるといいのですが。

 

 

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 睡眠が不足した場合

以下、個人的な不安点について

 試験中に延長した睡眠の大部分は浅いノンレム睡眠(睡眠段階1+2)およびレム睡眠でした。逆に、深いノンレム睡眠(徐波睡眠、睡眠段階3+4)は睡眠延長に入る前から終了時まで一貫してほぼ同じ量が保たれていました。これは睡眠不足時には深い睡眠が最優先で保たれ、浅い睡眠やレム睡眠から削ぎ落とされることを示しています。しかし本研究から、浅い睡眠やレム睡眠もまた代謝やストレス応答機能の維持にとって重要であることが明らかになりました。巷で広まっている「短時間睡眠法」の問題点を浮き彫りにした結果と言えるでしょう。

 

 巷で広まっている短時間睡眠法についても、問題点を指摘しているのは気になるところですが、それ以上に気になるのは以下。

 

睡眠不足のときは、深い睡眠が優先される

睡眠不足のときは、浅い睡眠やレム睡眠は削ぎ落とされる」 これらの文言において、少し心配なことが生まれました。

 

就寝直後、高確率でレム睡眠に入る私(ナルコレプシーという持病の関係上)。

持病のせいで「睡眠不足中で必要なとき、レム睡眠が削ぎ落とせないのではないか」と考えてしまいました。

 

そうならば、深いノンレム睡眠のための時間が減ってしまいます。 ただでさえ糖尿病や肥満を合併しやすいとのことですし、睡眠不足になった場合の心身に与える影響と危険性は一般の人よりも高いのではないかと思うところです。合併症の原因の一つはこのようなところにもあるのでしょうか。疑問は尽きません。

 

※医療従事者ではない、一般人が考えていることです。

 

 

 


おわりに

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「睡眠不足と自覚していなくても、睡眠不足の可能性がある」とは、興味深い話でした。恐ろしいことです。しかもそれが心身に影響を与えているのですから、さらに恐ろしさは増します。

また、私のような過眠勢が同じ実験をしたら、どのような結果になるのかも気になるところです。必要な睡眠時間と、実際に眠れてしまう時間は違うのか、同じなのか…。

 

睡眠リバウンドを自宅で概算するには、個室で、目覚ましをかけず、遮光カーテンを引いて自然に覚醒し、それ以上2度寝ができなくなるまで眠ってください。実質的に眠った時間を合計します)

 

「それ以上2度寝ができなくなるまで」

眠りすぎて、横になっているのが辛くなるのが先か、眠れなくなるのが先か。文字通り一日中眠れてしまう気がしてしょうがないです。9日間実施したならば、一日中ではなくなるかもしれませんが、やってみないと未知数ですね。

 

個人的には「眠い」=「必要な睡眠」と理解しているので、私の日頃の眠気と仮眠は、私の身体にとって必要なものだと理解しています。

 

ナルコレプシーの対症治療において「日中の眠気を軽減させるには、規則正しい生活と、十分な睡眠時間が必要」とあります。今まで特に意識してきませんでしたが、十分な睡眠時間がどれくらいかを知ることは、自分が前へ進むために必要なことかもしれないと感じました。

遮光カーテンを用意することから始めなくてはいけないので、実際にやってみるにしても、もう少し先のことです。

 

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余談

実験対象者が、一般的には「健康な成人男性」であることに理由があるそうです。そのうちの一つは、男性の身体はかなり均一であり、データを混乱させるようなホルモン濃度の変動がないため

 

ホルモン濃度が安定しているのは、一般的な男性の身体を持つ人には月経がないからでしょうか。もしこの実験に生理期間中の女性がいたならば、必要な睡眠時間が月経時のみなのか、普段からそうなのか判断が難しいのでしょう。その他にも、特定のホルモン濃度は1ヵ月で随分変わるので、均一なデータとしては使いづらそうですね。

 

 


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*1:就床:床につくこと。就寝

参照:就床(シュウショウ)とは - コトバンク