今回はナルコレプシーと混同されやすい他の過眠症について考えてみます。「眠い」というところは同じでも症状に随分大きな違いがあるものです。
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目次
各過眠症による症状 概要
ナルコレプシー
夜に十分な睡眠を摂ったにも関わらず、翌日の日中に耐え難い眠気(2日徹夜明け並)が生じる。
日中の眠気が継続して3ヶ月以上生じている。
3~4時間ごとに猛烈な眠気が生じて自分で制御できないが、適度に仮眠を摂るとその症状は緩和される。
主な症状
・睡眠発作 →とんでもない眠気に抗えず、眠ってしまうこと
・情動脱力発作 → 感情が昂ぶると筋肉の力が抜けてしまうこと (この症状がない人もいる)
・入眠時幻覚・金縛り → 霊体験のように感じるが、夢を見ているだけ
・悪夢 → ほぼ毎日夢を見る、そのほとんどは悪い夢
※ナルコレプシーであっても倒れて眠る人はめったにいません。仮に歩行時に眠ってしまったとしても、ナルコレプシーは眠りながら歩き続けます
倒れることがありうるのは「情動脱力発作」の方です。そちらは筋肉の力が抜けてしまうことで、睡眠状態にはなっていません。なので意識は保ったままです。
脱力症状の程度に個人差があるので倒れない人も一定数以上います。 アゴや、腕など体の一部のみが脱力する人など様々な方がいます。
特発性過眠症(とくはつせいかみんしょう)
「突発性」ではなく、「特発性」ですので注意。
夜に十分に睡眠をとったにもかかわらず、翌日の日中に反復して耐え難い眠気が生じる。
日中の眠気は3ヶ月以上にわたり継続している。
起床することが困難
睡眠発作で日中眠ってしまうと1~4時間継続して寝てしまい、起き抜けもすっきりしない。いくら寝ても眠気は残っている。
睡眠時無呼吸症候群やその他の過眠の要因がなく、日中強い眠気を感じる人。
かつ、ナルコレプシーの診断基準にあてはまらない人がこの病名をつけられる(らしい)。そのため細かな症状は個人によって異なる。
反復性過眠症【周期性傾眠(けいみん)症】
1日15時間以上、朝も夜も眠り続けるという状態(傾眠期) が数日~2週間程度続き、傾眠期が過ぎるともとの一般的な日常生活が送れる。
そのような睡眠状態が1ヶ月~数ヶ月のごとに不定期に生じる。
傾眠期の状態
・食事、排泄などは自分で行える
・起きているときに会話をすることはできるが、ぼんやりとした様子
・傾眠期に自分が活動した記憶は「ほとんど残らない」もしくは「残らない」
→起きていたときの記憶が残らないため本人の意識は○日間眠り続けた。
クライネ・レビン症候群(Kleine-Levin syndrome):反復性過眠症の中で傾眠期に著しく食欲が増すこと、過食状態になること
月経関連過眠症 (Menstrual-Related Hypersomnia):月経の1週間程前から眠くなり、月経期になると急激に症状が改善すること
特発性過眠症と反復性過眠症、ナルコレプシーとの違い
症状が出る間隔、頻度
ナルコレプシー : 睡眠発作はほぼ毎日、3~4時間置き。1日活動していて日中眠気が生じない日は、数年に1度あるかないか。
特発性過眠症 : ほぼ毎日数時間置きに極度の眠気が生じる、
反復性過眠症 : 個人差があるが1~数ヶ月ごと。異常に眠くなる傾眠期以外、普段は特段眠気に悩まされることもなく過ごすことができる (夜間に十分な睡眠を摂っていることが前提)
眠りにつくまでの時間
ナルコレプシー : 眠いのが究極の域に達すると、家電のスイッチが切れたように急に眠る。就寝時は10分以内
特発性過眠症 : ナルコレプシーのように急に眠ることはないが、居眠りは度々してしまう
反復性過眠症 : 傾眠期は放置するとすぐに眠りこんでしまう。普段は睡眠が健常な人と変わらない
1回の発作時間
ナルコレプシー: 睡眠発作でスイッチが切れたように眠ってしまった場合は5~15分程度で自力で起きる。情動脱力発作で筋肉の力が抜けるときは数秒~数分
特発性過眠症 : 眠ると1~4時間程要し、起きるのも困難
反復性過眠症 : 15時間以上眠り続け、起きて数時間活動した後にまた15時間以上眠り続ける。そのような睡眠サイクルが数日~2週間程度続く
起きた直後の状態
ナルコレプシー : たいていすっきり、爽快。眠る数分前までの眠気が嘘のよう
特発性過眠症 : 眠気は残ったまま・ぼんやりとする
反復性過眠症 : 傾眠期は15時間以上眠った後でもぼんやりとしていて、意識ははっきりしない
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まとめ
どの過眠症の人にも共通していること
・「~のときは誰でも眠くなるよ」とか仰る方々が想定しているものとは、おそらく常軌を逸している
・「眠いのを我慢する」とか「我慢できる」とか、そんなレベルでは説明ができないくらい、自分にとっては形容しがたい眠気
・そもそも眠いのを我慢できるのならば、言われる前に自力でやっている。できないから悩んでいる
・眠くなることが自力ではどうにもできない
・起き続けていること、覚醒を続けていることに苦労している
・「眠い」のは怠けているからではない
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「眠れないよりはいいんじゃない」
— りつ@ナルコレプシー (@rit_narcolepsy) 2016年5月24日
「どこでも眠れていいね」
そう言う人もいます。
よく眠れていいと感じるのは、眠気を自分で制御・管理出来る人の範囲内でしょう。常軌を逸して、意思関係なく眠りに落ちることが羨ましいはずがないです。#narcolepsy #ナルコレプシー #過眠