ナルコレプシーです、お見知りおきを

世界で日本人が一番多い過眠症、ナルコレプシーに関係あること、ないこと。

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「ナルコレプシーの症状を改善する物質が開発された」というニュース

目次

 

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新聞コラムに「ナルコレプシー」

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ある日の読売新聞のコラムがとても興味を引く内容でした。

 

平成29年5月17日(水)

読売新聞1面、『編集手帳』より

見た目には丈夫そうなのに、寝てばかりいて働かない。民話の「ものぐさ太郎」である。太郎はナルコレプシーだったかも知れないと、作家の色川武大いろかわたけひろさんが『いずれ我が身も』(中公文書)に書いている

(中略)

色川さん自身、その症状に苦しんだ。知らない人の目にはただ怠け者と映るのがやりきれない。〈太郎氏も弁明のしようもなくてつらかっただろう〉と

根本的な治療薬のない病気に、マウスでの実験ながら、症状を抑える物質が開発されたという。筑波大学の研究チームが発表した

(中略)

〈春眠の身のかんぬきを皆外し〉(上野泰)。気の張る仕事やむずかしい人づきあいで身にまとった緊張のよろいを脱ぎ捨てて、心身を解き放つ。それが眠り本来の姿だろう。異形の眠りに苦しむ人々に、朗報が届くといい。

 

異形の眠り」そう! そうなんです!! 的を得る形容をしてくれてありがとうございます。

また、ブログの引用では割愛しましたが同記事内にて、色川さんは「暴力睡眠」と形容したとも記載されています。そうですね、まるで暴力のように理不尽に、唐突に襲われるものですから。「見た目が丈夫そう」というところも怠けているように見える要因の一つで、歯がゆいところです。

 

 


ナルコレプシー治療薬についてのニュース

上記コラムにも記載されているニュースは同年5月16日には読売オンラインや毎日新聞、Yahoo! ニュースなど各所より、発表されました。

昼間に眠気、覚醒物質で症状抑制 筑波大、マウスで効果

https://mainichi.jp/articles/20170516/ddm/012/040/078000c

 

記載文を要約すると、「米科学アカデミー紀要 電子版にナルコレプシー治療薬に対する論文が掲載された。 内容はオレキシンと同じように神経細胞に働きかける化学物質を開発し、マウスに注射したところ、症状が改善することができたというもの」だそうです。

 

 

≪米国科学アカデミーサイト≫

Nonpeptide orexin type-2 receptor agonist ameliorates narcolepsy-cataplexy symptoms in mouse models

 好奇心が抑えられず、検索していました。

こちららだと論文のテキストファイルは会員じゃないと閲覧できない仕様のようです。

もしかしたら方法はあるのかもしれませんが、仮に閲覧出来たとしても、論文なので、よく理解できないでしょうし。この辺で諦めておきます。

 

ギリギリ見れた範囲の、「要約」では、使用した物質や、結果がより具体的に記載されていました。そしてそれを簡潔に要約すると、一般向けオンライン記事のようになると思われます。

 

まだマウスの実験過程とはいえ、「ナルコレプシーは根本的 治療法がない」と言われていた時代から、動き出すのが現実的に感じられて、とても嬉しいニュースです。実用化される日が待ち遠しいです。

 

 

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補足事項

ものぐさ太郎

物くさ太郎 ものくさたろう

室町時代の御伽草子。作者,成立年未詳。信州に住む無精者の物くさ太郎が夫役をつとめるため上京,歌を仲立ちに内裏に仕える美女をつかまえ結婚。やがて歌才を認められ,宮中に召された彼は,系図を調べると信州に流された皇子の子だとわかり,甲斐,信濃両国を賜わって,中将となり帰国。死後はおたが (穂高か) 大明神となる。「隣の寝太郎」型の民間伝承に取材した作。

引用:物くさ太郎(ものくさたろう)とは - コトバンク

 

 詳しいあらすじ →  物くさ太郎(あらすじ)

 

彼が過眠症だったと仮定して、我々の境遇と同じところを探してみます。

 

人前でよく寝ているので、「怠け者」と思われたり、場合によっては ”まるで”「無能」のように扱われることがあるかもしれません。けれども、本気出したら、持っている能力はそんなに悪くない、ってところが共通していると考えました。

難ありなのは、過眠症の場合「本気出したら」は別名「起きていられたら」なので、自分の意思を逸脱することがあるってところです。

 

 

また、「隣の寝太郎型の民間伝承」とは、働かず寝てばかりの生活をしていたけれど、色々あって結婚したり、真面目に働くようになったり、大きなことを成すというタイプの民間伝承、昔話のようです。

 

私が調べた限りでは、上記の長野の他、埼玉、山口、秋田にて この型の伝承を確認しました。もしかしたら さらに他の地域でも存在しているかもしれません。

 

これらのことより、複数の地域で、眠ってばかりの人は過去にいたということが推測できます。少なくとも、室町時代以降からは。

本当にやる気がなかったのか、過眠症だったのか…、今となっては確認する術はありませんが、ただ「存在した」ことは事実であると思われます。そうでなければ、伝承のもとにすらならないと考えるからです。

 

日本に睡眠外来が作られたのは、1956年とのことですから、それ以前に病気だと気づくのは より難しかったでしょう。かつて眠りに苦しんでいた彼らのことを想わずにはいられません。そう思えば自分が病気だって知ることが出来ている分、幸せなのかもしれません。もしかしたら。

だからといって今の自分の状態に納得できるのかというのとは、また別の話です。

 

 

春眠

しゅんみん【春眠】
春の夜や明け方の、心地よい眠り。 [季] 春。

引用:春眠(シュンミン)とは - コトバンク

 

「春眠」がつく代表的な歌の一つ

春眠暁を覚えず
【意味】春眠暁を覚えずとは、春の夜は心地よいので、朝になったことにも気づかず眠り込んでしまうということ。

引用:春眠暁を覚えず - 故事ことわざ辞典

 

「眠りの本来の形であろう」という「春眠」のような「心地よい眠り」の人生に憧れます。

 

 


参照・参考

 


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